茫然自失。その一言で、一年間堰き止めていた感情が、泡ぶくのように消え去った。
揚げ足を取ってくる、チームの仲間。
他人事のように声もかけず、目の前を通り去っていく会員の人たち。
そんな映像がいまでもトラウマのように、頭から離れなくなった。
なぜあの人は、あの場所で、あんな発言をわたしに飛ばしたのだろう。
なにかのトラウマ?
家族の誰かと醜い私の姿を重ねて、
親に不満をぶつけるみたいに、心にあった感情を一気に吐露したのか。
「あの人が悪い」
わたしはその時起こった出来事を、誰かのせいにすることが出来なくて
自分で自分のことを、苛め続けた。
もしかしたらあの人も私と同じように苦しんでいるのかも。
そんな風に考えることで、トラウマから少しだけ抜け出したような気がした。
そして2か月後。新型コロナウイルスが蔓延した。
意味も分からずやってくる毎日をやっつけるのに必死だった。
テレビを付けると記者が不祥事を起こした政治家に、幼稚な質問を飛ばしていた。